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【HQ】繋がる縁の円

第23章 期間限定sharing.


ただ、待ち続ける。
それが、辛くないのは、毎日接する人が居て、独りならずに済むからだ。

でも、時間というものは残酷で。

木兎さん達が出ていく日が、あっという間にきてしまった。

少しずつ、物が減っていく。
それだけでも、淋しいと思っていた。

今日は人が減る日。
中でも、一番騒がしくて考え込む隙を与えてくれない木兎さんが居なくなる。

最後に残った荷物を抱えて、木兎さんとかおるさんが玄関へ。
見送りの為に、2人についていく。

「何ヵ月もお世話になりました。お店が再開したら、向こうでも宜しくね?」
「りらちゃん、またな。」

振り返った2人の口からは、完全にこの家の住人じゃなくなる人の台詞。

居なくなるのが耐えられなくて、2人を掴もうと手が動いた時、

「木兎、荷物はそれだけか?忘れ物すんなよ。」

私と2人の間に割って入ってきた人が居て、その手は止まった。

「さっきかおるちゃんが確認した。大丈夫だ!」
「お前が威張るな。…じゃ、またな。
かおるサンも、また。店が再開したら、皆で飲みに行かせて貰うな?」
「うん、お待ちしてます。じゃあ、また。」
「じゃーな。」

結局、その人との会話で挨拶を済ませて木兎さん達は出ていった。

私は一旦の別れの言葉すら発する事が出来ないまま、2人を見送る。
扉が閉まると同時に、こちらを向いた人…黒尾さんは、長い溜め息を吐き出した。
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