第21章 企み秘めたる結婚式

‐黒尾side‐

センパイと過ごす時間ってやつは、誰と居る時よりも‘しっくりくる’って感じで。
このまま、ここに居たら１年早いってのに、答えを急かしちまいそうだった。

まだ一緒に居たいって感情を抑えて、センパイを追い出した部屋。
さっさと片付けをしたテーブル。
その上に、みつから受け取ったブーケ。

赤葦達の事だから、俺に渡しといて、センパイの元に最終的にいくように仕向けたもんだろう。

それに応えてやる為に【幸せをセンパイにもお裾分け】なんてメモを残して家を出た。

調べておいたカプセルホテルに入ってから、スマホを弄る。

ー…この花、ベゴニアって言うんですよ。

別に花の種類になんざ、興味はねぇのに。
赤葦が、わざわざ教えてきたくれぇだ。
あの花自体に、何か意味がある。

花の名前で検索して、表示された画面。
意味を知るなら必要な情報は花言葉。

いくつも出てきたサイトの中で、１番上をタップする。
面倒臭い事に、花の説明から始まったページ。
半分以上は読み飛ばして、目的の言葉をやっと見付けた。

ベゴニア。
歪んだハート形の葉に由来する、その花言葉は…。