• テキストサイズ

【HQ】繋がる縁の円

第21章 企み秘めたる結婚式


叩かれたのが分かっている。
でも、何故なんだ。

私が、親と上手くいってないのを、知っている筈なのに。

「イイ歳して、反抗期拗らせ過ぎなんだよ、アンタは!たまには、親に甘えろ!親の好意をちゃんと受け入れろ!
孝行したい時には、親は居なくなってるもんなんだからね!」

叩き返すのは出来ないから、言葉で返そうと開き掛けた口は、すぐに閉じる事になった。

もう、何をしてやりたくても、甘えたくても、その相手が、親が居ないきとりちゃん。
彼女には、言わせちゃいけない台詞を、言わせてしまったから。

「アンタみたいに、親に頼られて、家に尽くしてきた人間の親孝行は、甘えてやる事だ。分かったら、さっさと着る!」

言うだけ言って、きとりちゃんは部屋から出ていく。

残されたのは、私と、化粧をしてくれた女性と、振り袖。

親孝行したいと思える程、親には感謝をしていない。
だけど、孝行したい相手はいる。

姉として我慢して生き続けた私を、想い続けてくれた人。
私から頼るのが苦手な質を知って、自分が独りになる決断をしてまで、居場所を作ってくれた人。

「すみません。着付けを手伝って頂けますか。」

その人に恩返しが出来るとするなら、親の好意を受け入れた所を見せる事。
それしか、無いと思った。
/ 545ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp