第20章 やっぱり派手なのがお好き
‐木葉side‐
最初の段階で聞かれちまった赤葦達とか、持ち前の勘の良さで気付いた黒尾以外に、知らせるつもりは無かった。
だが、今のままじゃ、この人は木兎の言葉を信じない気がする。
傷付くのが怖いから、信じない。
1年前に、りらがかおるさんの心情を感じ取って言った台詞。
多分、今もそうなってる。
拒否の言葉で受けるショックは、そんだけデカイもんだ。
経験者は語るってな。
「…俺達はタイミングが、ちょっとズレてるんだよな。この前、俺の方がりらを待たせてるみたいな事を言ったが、実は俺が待つって決めてるだけ。
待たせてる側が責められやすいから、りらの為にプロポーズしない俺が悪いって事にしてたワケよ。皆には内緒な?」
こうやって、俺達の事を詳しく話したのには訳がある。
タイミングを見計らわなきゃいけない俺達と。
本当は、タイミングぴったり合ってた木兎とかおるさん。
比べる対象があったら、それが分かり易いからだ。
話を止めると、換気する為って嘘を吐いて窓を開けに行く。
下を見ると、皆がぞろぞろと揃って庭に出てきた所だった。
「…あれ、アイツ等、庭に揃って何してんだ?」
わざとらしく声を掛けて、かおるさんを窓の方に呼ぶ。
プロポーズと逆プロポーズ。
全く同じ日に計画してた2人の、奇跡的な今日。
それに気付いてくれる事を願って、眼下の世界を注目するように手のひらで庭を示した。