第1章 転
近藤
「隊舎の女中に来てくれた者の家族にはお祝い金を払う…
こんな謳い文句があるせいで君を傷つけてしまった!!
すまなかった!みわちゃん!!許してくれ!!」
周りの目も気にせず私に深々と頭を下げる近藤さん。
みわ
「き………き………」
近藤
「き…?」
みわ
「給金っ…」
近藤
「給料?俺の?ん?」
みわ
「あの…いぇ……じょ…女中さんになったら……
お給金は頂けるんでしょうか……?」
近藤
「へ?……あ、ああーーっ!出る!出る!!出るさ!!!」
私はそれを聞くと自然と近藤さんに深々と頭を下げた。
(頭を下げたところで雇ってもらえるなんて思えないけれど…
多分私は二度と女将さんの元には戻れない…
つまり…この身一つで歌舞伎町を彷徨う事になってしまう。
それなら仕事なんて選んでられない…
ここでなんとか粘って雇って貰わないと!!)
みわ
「私を……あの……女中として……雇って頂けないでしょうか!?」
近藤
「へ?……っ………おおっーーー!!!よくぞ決意してくれた!!!
よしっ!決まり!!採用っ!!!!
そうと決まれば屯所へ!!」
みわ
「…………はい。」
私の小さな返事をかき消すくらいの笑い声をあげながら、
嬉しそうにズンズンと真選組屯所へと向かい歩き出す近藤さん。
私はその背中を追って新しい一歩を踏み出した。