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華の剣士 王宮篇

第5章 長の議の間で


「なに…!そなたはわしを愚弄するのか!」


「いいえ、チェソン殿を馬鹿になどしておりません。あなたは他国から攻めいられたとき、何度もその知恵でこの国を守ってこられました。ただ、刻一刻と変わる世の中では、昔のままの考えは時に危ういと申し上げたいのです。」


チェソンはヘウォンの賛辞に気をよくしたのか、険しい顔が少し穏やかになる。


「今この燐は、幾年にも渡る夏の干魃による飢饉や、流行り病で人口が急激に減少しております。そのため、女人も兵士とならねばならぬ時が遅かれ早かれくると思うのです。」


この数年間、毎年夏に干魃が起こるので、何か天がお怒りなのではとまことしやかに囁かれているのをハイルは思い出す。


もっともな理由で、チェソンも話を遮らずに聞いていた。



「それに何より、私の試験に実力で合格しましたので、女人と言えど武術においてかなりの腕前でもありました。」


「ならば仮にわしらが彼女が兵士となることを認めるとする。その事によって起きる宮中での噂は?誰かの縁故(昔の縁を使って優遇してもらうこと)で合格したなどと、白虎の威信を欠くようなものや、ヘウォン殿は女好き、などとヘウォン殿に対する評判が落ちるようなものもあるかもしれん。」


「それならば問題無いと思います。」


ヘウォンの自信ありげな顔に、ハイルは感心した。


(俺はこのじいさんとは徹底的に関りあいたくないから、絶対気を損ねないようにしていた。ヘウォンさんは己の信ずる道を行くようだが、いったいその自信はどこからわいてくるのだろう。)


「それは、彼女の実力を最初に見せつけることによって完全にとはまだ言い切れませんが、抑えることができると思います。ですので皆さま…新隊員が入隊したとき、できるだけ早くに武闘会を開いていただきたいのです。」





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