• テキストサイズ

おそ松さん〜寝物語は君の隣で〜

第4章 松奥〜F6十四松〜




——ここは「松奥」——


国中の美女を集めた、嫉妬と欲望が渦巻く男子禁制、女の戦場。

将軍十四松公と、その一族を世話する奥女中三千人以上が住み込みで働いている。

そんな女の園なのだから、イジメや嫌がらせは日常茶飯事である。

着物のすそを踏んで転ばせるなど可愛い方で、根も葉もない悪い噂を流されたり、酷い場合、食事に毒を盛られることもある。

つまり、出世とは他人を蹴落とすことでもあった。

ここ「松奥」での一番の大仕事は、天下人の子種を得て世継ぎを残すこと。

平凡な町娘だったわたしは、紆余曲折を経て(いつも適当で大変申し訳ございません)上様の目にとまり、幸運にも側室に選ばれ、この身一身にご寵愛を賜っている。


「主、今夜の上様はひどくご乱心の様子。たっぷり慰めてあげてね」


松奥で出来た唯一の友であるトト菊が、心配そうにわたしに駆け寄ってきた。


「ええ、勿論そのつもり。行ってくるわ、トト菊」


わたしは、高鳴る胸を押さえ、寝所である御小座敷へと向かった。




/ 175ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp