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おそ松さん〜寝物語は君の隣で〜

第3章 オレなりのドリームノベル〜カラ松〜



オレはカラ松、松野家次男。

街路樹達の唄に耳を傾けながら、オレは1人、孤独を抱きしめ街を彷徨っていた。

オレが纏うのはいつものパーフェクトファッション。
いつ如何なる時も、オレはパーフェクトでなければならない。
それは誰の為でもない、己自身のため。
オレは常に己を高めたいんだ。その為に今朝…というか起きたのは正午だったが、眉を整え髪に櫛を通し、家を出た。

——己自身と向き合う為に。

行くあての無いオレは、4時間も地下鉄の風に吹き上げられていた。
忙しない日常を過ごす、スーツという鎧を身につけた戦士達に向かい、グッバイセンキューをひたすら心の中で送り続ける。

すると、心ない1人の戦士が、飲み終わった缶コーヒーをホームへ投げ捨てた。目の前に転がってきたそれを捨てようと手を伸ばした時、運命の悪戯がオレを襲う。


「きゃあっ!」

「おっと…」


目の前を通りがかったガールが缶を踏んづけ転びそうになり、気づけばオレは腕の中へ彼女を招き入れていた。その横を通過電車が轟々と音を立てて走り去って行く。


「大丈夫かい?」

「はい…。ありがとうございました。よかった…。あなたがいなければ、今頃私、地下鉄を真っ赤な血で染め上げる所でした…」


地下鉄ではなく自身の頬を薄紅色に染め上げ、オレを見つめるガール。
あぁ…オレとしたことが。またやってしまった。
こんな場所で、1人のカラ松ガールを誕生させてしまうとは…。


「あの、この後時間ありますか?よければお礼させてください」

「オレは松野カラ松。君の名は?」

「私?私はyou主です」


オレはかけていたパーフェクトグラサンを華麗に外し、口角を上げた。


「お礼?フッ、礼を言うのはオレの方さ。主という素敵なエンジェルに出会えたのだからな」

「そん…な。エンジェルだなんて…」

「さあ、共に祝おうじゃないか。2人の愛のプレリュードを!」


そして、たった今生まれしカラ松ガールのバースデーを……な。


オレは彼女の肩を抱き寄せ、ホームを後にした。


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