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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第4章 この想いはまだ一方通行


“そんな顔をさせたいんじゃねぇ”

沙羅が、なぜ泣いているのかわからない。
だが、今すぐにその涙を止めてやりたかった。
マルコは、痛む左手を動かし、近くにある沙羅の左手をポン、ポンと軽く撫でた。
「何で泣いてんだよい」
「だって・・・、マルコが怒ってるから」
「怒ってねぇ」
「でも・・・さっき顔が恐かった」
「!!」
どうやら、欲情したことは気づかれていないらしい。
だが、本能的に自分の危機は察したようだ。
マルコは、小さく息をはいた。
「悪かった、傷が痛かっただけだよい」
「本当に?」
「あぁ」
笑いかけてやれば、沙羅は向日葵のような笑みを浮かべて嬉しそうに笑った。
その笑顔をマルコは、眩しそうに目を細めて眺めた。

この笑顔を守りたい。
そう思ったはずだ。
沙羅がいつでも幸せでいられるように、その身を、心を、守りたい。

沙羅が
“好き”
だから。

唐突に出た答えに、マルコの心の中で滞っていたものが流れていく。

沙羅が好き。

今は、
それだけで、
いい。

力が抜けたマルコはフッと笑った。
その表情はとても柔らかくて、沙羅の心も綻ばせた。
「よかった!あ、左肩みるね!」
その勢いのままマルコの左側に回り、腕を取ると包帯を取り始める。
「なんか久しぶりだね!」
「?」
「最近、マルコ私のこと避けてたでしょ」
「!!」
驚いたマルコに、悪戯が成功したような笑みを浮かべる沙羅。
「サッチが、マルコは、“大人”の事情でイライラしてるからそっとしておいてって」
「!!・・・サッチがねぇ」
マルコの目に危険な色を帯びる。
「他に何か言ってたかい?」
すると沙羅は暫し考えた後言った。
「うーン、あ!男はイロイロ溜まりやすいって」
微かな間。

“ぶっ倒す!!”

沙羅の優しい手つきに酔いしれつつ、マルコはニヤリと鬼のような笑みを浮かべた。

後日、回復したマルコにサッチがぼろぼろにされたことは、言うまでもない。
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