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スパイラル 〜螺旋の先〜【気象系BL】

第5章 TRAP


【智side】

松潤が遺した痕をひとつひとつ消していくように、俺は何度も唇を押し当てた。

翔くんは涙で濡れた瞳でそれを見つめながら、俺の髪を優しく撫でてくれた。

愛しいものにそっと触れるように。

錯覚でもいい。
今だけ。
愛されてると思いたい。
もう、これが最後だから……。

俺も、今持ってるありったけの愛しさを瞳に乗せて、君を見つめて。
そっと、その唇に自分のを重ねた。

何度も触れるだけのキスをして。
唇が触れる度に、好きだよって心で呟いて。

何度も、何度も……。

気がついたら、俺は翔くんに組み敷かれてた。

彼の手が、俺の身体中を這い回る。
頭の天辺から足の爪の先まで、触れてない場所なんてないように。
それがまるで、俺の形を忘れないようにしてるみたいで。

俺も、そんな彼を瞬きする間も惜しんで、見つめ続けた。

そのうち、彼の指が胸の尖りを弄ぶように弾いて。
思わず声を上げたら、嬉しそうに微笑んだ。

唇や指で胸を弄られてたら、すぐに俺のは大きくなっちゃって。

気がついた彼が握ろうとするから、それを手で制した。

「…うしろ、指、入れて…」

早く、ひとつになりたかった。
これが最後なら、少しでも長く、彼を自分の中で感じたかった。

だけど、彼はゆっくり時間を掛けて、受け入れるそこを解した。
まるで、初めて身体を重ねた、10年前みたいに。

ずっと堪えてた涙が、溢れる。

彼と過ごしたこの10年の日々が、走馬灯のように瞼の裏を流れていって。

堪えられなくて、しゃくりあげて泣いた。
彼も、俺を強く抱きしめて、同じように泣いていた。

「…お願い…もう、きて…」

ゴムを着けようとするのを止めて、そのまま受け入れた。
全部、欲しかった。
彼が与えてくれるもの、全てを受け止めたかった。

強く抱き合いながら。
何度も唇を重ねながら。

俺は、翔くんに揺さぶられた。

何度も一緒に昇り詰めて。
俺から出ていこうとするのを、強請んで引き留めた。

どっちの汗だか精液だかわからないほど、ドロドロになっても、彼を離したくなくて。

翌日のことも考えずに、外がうっすらと明るくなるまで俺たちは繋がり続けた。

翔くん……
翔くん……

苦しめてばっかりで、ごめんね……
愚かな俺を、許してね

翔くん……

君だけを

愛していたよ……………



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