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スパイラル 〜螺旋の先〜【気象系BL】

第15章 One Step


【雅紀side】

その日の収録中、俺の目は翔ちゃんをずっと追っかけてた。

カメラが回ってる時には、いつも通りの完璧な進行ぶりだったけど。

カメラが止まると、その視線はすぐにリーダーを捕らえて。
その視線の先にいるリーダーも、ふにゃんて感じで微笑んで翔ちゃんを見つめ返してて。

回りにいっぱいスタッフさんがいるのにさ、そこだけ二人の世界なの。

他の人なんかまるで見えてないみたい。

そんなの見せつけられちゃったらさ〜
もうこれ以上あの二人をどうこうしようなんて、そんなこと考えられないよね。

まぁ、そんなこととっくに考えてないけど。

だって、翔ちゃんのリーダーを見る眼差しがすごく優しくて。
ほんとに大事な大事な宝物を包み込むように、その身体に触れるんだ。

それを見てるとさ、自然に笑顔になってる自分がいて。

ああ、なんか在るべきところにちゃんと収まったんだなって感じする。

ほんの少しの寂しさは感じるけどね。

でも、やれること精一杯やったし、それで砕け散ったんだから、悔いはないよ!

あとは、二人がこの先もずーっと幸せに寄り添ってくれればいい。
俺たちが入る隙間なんて、一ミリもないくらいにね。




収録が終わって、やっぱり翔ちゃんを見てたら目が合って。

「おつかれ」

そう笑顔で言われた。
俺の大好きな笑顔で。

…うん、大丈夫。
もう、胸がドキドキしたり、ギュッてなったりしない。

「おつかれっ!」

だから、俺も笑顔でそう言って。

「ねぇねぇ、これからみんなで飲みに行かない?」

楽屋へと戻っていく四人の背中に声を掛けた。

「ええ〜?俺、帰って攻略したいゲームがあるんだけど〜」

真っ先に異を唱えたのは、ニノ。

その頭をヘッドロックしてやる。

「うぉりゃ!たまには付き合わんかい!」
「痛たたたっ!この間も付き合ったでしょーが!」

文句を言いながらも、その顔は綻んでて。

「いいね、たまには」

一番前を歩いてた松潤が、キラキラ笑顔で振り返る。

翔ちゃんとリーダーを見ると、二人は顔を見合わせて。
一瞬、目と目で会話して。
同時に、笑顔になった。

うわ!息ぴったりだし!

「いいね」
「行こうよ」

言うのも、同時で。

なんかちょっとだけ妬けちゃった俺は、ニノの首を絞める腕に力を入れた。

「ほら、おまえも行くぞ、ニノ!」


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