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スパイラル 〜螺旋の先〜【気象系BL】

第7章 maboroshi


【智side】

「ごめんね、遅くなって」

収録が終わって駆けつけてくれたニノは、片手にコンビニのビニール袋をぶら下げていた。

「どうせあなたのことだから、昨日からなんにも食べてないんでしょ?一緒に食べよ?」

ビニールを顔のとこまで翳して、優しい笑顔でそう言って。
テーブルの上に、おにぎりやサンドイッチや弁当を並べてくれた。

「…多過ぎ…」
「仕方ないじゃん。あなた、なに食べるかわかんなかったし。食べきれなかったら、明日の朝食べればいいし」

言いながら、俺の手の上におにぎりを置いた。

俺たちは無言で飯を食って。

でもその間も、ニノがなにか言いたげに様子を窺ってるのがわかった。
不安そうな、瞳で。

俺、いつもこんな瞳ばっかりさせてる。
告白されて、OKして、ちゃんと付き合ってるはずなのに、ニノの瞳からは不安の影が消えない。
当たり前だ。
全部、俺が悪い。

ニノがいつも不安そうに俺の顔色ばっかり見るのも。
いつも周りを明るくしてくれる相葉ちゃんが、ここのところいつも泣きそうな顔をしているのも。
優しくて細やかな気遣いのできる松潤が、激情にかられてあんなことするくらい追い詰められたのも。

翔くんが、入院しなきゃいけないくらい、身も心もボロボロに傷付いたのも。

全て、俺が悪いんだ。

「…大野さん…」

気がついたら、止めどもなく涙が頬を伝って。

ニノの腕がそっと伸びてきて、俺を抱きしめてくれた。

「…っ…ご、めん…」

もう、捨てよう。
翔くんへの想い、全部。

ニノも相葉ちゃんも松潤も、俺にとっては翔くんと同じように大切な仲間だ。
それなのにここまで拗れてしまったのは、全て俺の翔くんへの想いが原因だった。

これからも、5人でやっていきたい。
誰一人、失いたくない。

俺がこの想いを棄てれば、きっと元通りになれるはずだから。
ただ笑顔でいられた、かつての俺たちに。

「…ごめんな…もう、翔くんとは、会わないから…」

腕の中でそう言うと、ビクッと身体を震わせたけど。

「…大丈夫、俺がいるよ」

腕に力を籠めながら、優しい声で囁いた。

「ずっと、俺が隣にいる。これから先も、ずっと。智を思う気持ちは誰にも負けないって、それだけは自信があるんだ。だから、離さないよ?なにがあっても、絶対に」

包んでくれるニノの身体は、泣けるくらい温かかった。

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