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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第6章 幸せな我儘 〜一夜限りの恋人よ〜 / 豊臣秀吉




「はぁ……はぁ……!」


城外まで全力疾走して来た秀吉は、枯れ木に両手をついて荒い息を吐いた。

多分途中で光成あたりとすれ違った。
変だと思われたかもしれない。

でも、それを弁解する程の心の余裕は、今は無かった。



(舞……)


無意識に心の中で名前を呼ぶ。
それだけで、自分で解るくらいに身体が火照った。


先程の舞の声が、頭でこだまして離れない。



『秀吉さん』


いつも、自分を呼ぶ時とは全然違う。
あんな甘くて、濡れた、声。
性を感じて、欲情している、声。



舞は、どんな顔をしていたんだろう。
きっと真っ赤な顔で、瞳は潤んでいて。
濡れた唇からは、熱い吐息を漏らして。



(俺の名を、呼ぶ)



「ーーー違うっ!」


思わず叫んでいた。
舞を抱いていたのは信長様。
俺じゃない。

勝手に記憶がねじ曲がる。
あの声を上げていたのは信長様にであって、俺に対してじゃない。



『あんっ、んぁっ』

あの声は、俺が啼かせたんじゃない。
俺に向けられたものじゃない。

でも、俺が啼かせたら、もっといい声で。




「くそっ……」

思わず、そこに座り込む。
暴走が止まらない。
歯車が狂って、壊れる事をどこかで祈ってる自分がいる。


この想いが行き着く先は、どこにもない。
この抗えない熱も、治めてくれる奴なんていないのに。


いつかこの手にと、切に願う自分が居るなんて。




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