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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第49章 満天恋月 ー 織姫争奪戦 ー/ おまけEND






(そのために、わざわざ……?可愛いのもいい加減にしろよ)




思わず、顔が火照って熱くなる。
よくよく見れば、舞はとても可愛らしく着飾っていた。

紅梅色に桔梗撫子と露草の模様の浴衣……

それは以前、舞に買ってやった反物の柄だった。
それに、牡丹の花飾りも…いつしか舞に渡した物だ。




「だからって着飾ってくんじゃねー、落ち着かねーだろ」

「え、変?」

「変、じゃねーよ。か……」

「か?」

「……っっ、まぁいーんじゃねーの」

「……ありがとう」




照れたのを誤魔化したくて、さっさと店仕舞いに戻る。

『可愛い』とか『似合ってる』とか。
素直に言えない、自分が憎い。

歯の浮くような台詞は柄ではないとは思っていても……
もう少し気の利いた事が言えないのかと、自分に呆れてしまう。




「今日は幸村の誕生日だけど、七夕だね」




舞が隣で片付けを手伝いながら、ぽつりと言った。

確かに今日は随分賑やかだ。
神社にも確か七夕飾りがあるとか、顔馴染みの客が話して行った気がする。




「……行くか、七夕祭り」

「え?」

「行くのか、行かねーのか」

「一緒に行っていいの……?」

「お前が七夕とか言うからだろ」




すると、舞は花のような笑みを浮かべ。
最高に可愛らしい笑顔で頷いた。




「行く、幸村ありがとう」




(……落ち着かねー、本当に)




────舞は故郷の咲き誇る花のようだと、たまに思う。

可憐で純粋な笑顔も。
少し控えめで……でも、真っ直ぐな所も。

その華を愛でたい。
そんな風に、心が疼く。


いつか、この気持ちを伝える事が出来たなら。


舞は戸惑うだろうか。
それとも、喜んで泣くだろうか。







(絶対離さねーけどな、その時は)







「じゃあ行くか、舞」

「うん」




手を差し出せば、小さな手で握り返してくる舞。
少し中途半端な距離も、もどかしくて心地よい。


『いつか』のために『今は』もう少しこのまま……


そう思って、舞の手を引き歩き出す。

今日は七夕。
織姫と彦星の奇跡が起きるように祈って──……







《おまけEND》終

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