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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第16章 ゆりかご揺れる夜には / 豊臣秀吉





「……秀吉、さん……っ」


熱に浮かされ、舞は名前を呼んだ。
着物の裾を掴み、苦しそうな舞。




(もう、考えてる暇はない……!)





















舞が風邪で寝込んだのは、ある寒い冬の日の事。

変な咳をしてるなぁと思い、無理やり休ませたら案の定……

次の日、舞は高熱を出した。


「ごめんね、秀吉さん、迷惑かけて」
「気にするな、迷惑なんて思ってない。 舞の世話をするのに、俺は居るんだ」



そう言って、舞の口に粥を運ぶ。
この粥を作るためだけに、政宗は御殿にやってきた。

家康も小まめに往診をしてくれている。



(舞はみんなに愛されてるな)



自分の女が、皆に好かれている事は嬉しくなる。
まぁ、心配もあるけれど。



舞は真っ赤な顔をしながら、大人しく粥を食べている。

なかなか飲み込めないのか、顔を歪めながら、やっと口に入れてる状態のようだ。


「美味しいお粥だね、優しい味」
「政宗が作ったからな、美味いだろう」
「わぁ、さすが政宗」


舞が、ふふっと笑う。
少し、心がチクっとした。


(こんな時に嫉妬してる場合じゃないよな)


自分じゃない男の事を褒めただけで、こんなに気持ちが浮つくとは……
いい加減、ヤキが回ったなと実感した。


(こんなに喜ぶなら……明日の朝は俺が粥を作ろう、昔作って食べていたし)



変な決意を決め、舞に最後の一口を運んだ。


「はい、おしまい。 薬も飲むんだぞ」


粉状の薬を、舞に手渡す。
家康が調合したものだが……舞はこれが嫌いらしかった。


「これ、喉を通る時、すごく苦くて熱いの……もっと飲みやすいならいいのに」
「良薬口に苦しだ、我慢しろ」
「うー ……」


やはり、あまり進まないらしい。
秀吉は舞の手から薬を取ると、舞の顎を捕らえた。


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