• テキストサイズ

【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第11章 純情アンチテーゼ / 伊達政宗





『政宗』



俺を呼ぶ声も、笑いかける顔も。
全部全部俺のものにしたい。

あの手を取って、口付けて。
恥ずかしがったら、抱き締めて。


もっともっと奥まで愛したい。
そう、俺なしじゃいられなくなるくらいに。


















(ちょっと早く着きすぎたな)


ある、夏の日。

舞と待ち合わせをしている露店の前で、政宗はため息をついた。

今日は仕事が丸一日休みで、絶好の機会と舞を呼び出した。

なんの絶好の機会だって?
自分の気持ちを舞に伝えるのにだ。


好きだと気づいてから、もう長い。
こんなに手を出せないでいる相手は初めてだった。



(こんなの、俺らしくもない)



人間、いつ死ぬか解らない。
この乱世で、自分もいつ命を落とすか解らない。

だから、好きだと思ったものには、ためらわず触れた。
でもそれは、舞は除外するけれど。



(大事すぎて口説けないなんて初めてだ)



大事で可愛くて、傷つけたくなくて。
でも、それも今日で終わりだ。
今日こそ伝える、自分の気持ちを。





小さく心に決意をする。
少し待つと、人混みから見慣れた姿が、こちらに向かって駆けてくるのが見えた。

人の群れの中、そこだけが、やたらと色鮮やかに見える。


「政宗!」


手を振るので、こちらも手を上げて答えると。
舞が裾を掴んで、息を切らして走ってきた。


「ごめん、待ったよね」
「いや、全然」

楽しみすぎて、早く着すぎたと言うのは内緒にしておく。

舞は髪を結い上げ、いつもとは違う、鮮やかな青の着物を着ていた。


「へぇ、その着物いいな」
「あ、気がついてくれた? 新しく仕立てたの」
「そーゆーのは気がつくほうなんだ」
「ふふっ、政宗らしい。 似合うかな」
「うん、可愛い」


褒めた途端、舞は照れたように、ふにゃっと笑った。


/ 523ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp