第10章 Butterfly / 豊臣秀吉
この素晴らしい日を
なんて言葉で伝えよう
赤い糸で結ばれた二人、永遠に
愛する人と誓った約束
私達幸せだよね、共に微笑む
鐘が鳴ったなら今、確かな想いを
歌に乗せて
太陽は沈み 月が登ってまた明日へ
眠って起きたら、君がおはよう
優しい優しい、君がだいすき
共に泣いて、共に笑って
全ての事を愛する君と分かち合う
たったひとつだけ 暖かい愛に包まれ
夢の全ては いつまでも つづくよ
「いい歌だな」
秀吉は歌を聴き終えると、ぽつりと呟いた。
とても優しい愛の歌。
すこし、眩しいくらいの。
「私ね、秀吉さんとずっとこうなりたいって思ってた」
「……」
「悲しい時は一緒に泣いて、嬉しい時には一緒に笑って……そんな当たり前の幸せ、この乱世にはあるのかなって思ってたから」
舞の健気な想いに、思わず胸が熱くなる。
人の命も儚いこの乱世で。
ましてや、自分は主君のために生き、命を捨てようとしていた。
愛する者を残してでも。
それが自分の全てで、当然の生き方だと。
それ以外に生き方なんて知らなかった。
でも……
「俺はここにいるよ」
秀吉は起き上がると、舞の身体を、背中から抱き寄せた。
ゆっくり前に腕を回し、温もりを確かめる。
「俺は信長様の大望の為なら、命なんて、いつだって投げ出す覚悟だった。 信長様の為に生きて死ぬ、それしかなかった」
「うん……」
「でも、今はお前が居るから……お前だけじゃない」
手を滑らせ、舞の腹に手を添える。
「俺達の子もな」