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白い雪【名探偵コナン】

第7章 緋色の再会──Sherry, Russian


「じゃあ私は少し離れるわね。ターゲットの目星がついたら合流するから」
「ついたらって……分かるのか?」
「多分ね。分からなかったら5分後にあなた達に合流するから、それでいいでしょ?」

私がそう言ってウインクすると、コナン君ははぁっと大きく息をついた。

「気をつけろよ……奴らの仲間にお前の顔が割れてたら……」
「平気よ、あの人も組織で知ってる人間は少ないって言ってたし……」

じゃあね、と軽く笑って私は人混みに紛れた。
そして会場にいる人間を見回すと、「うっわ〜……」そうそうたる顔ぶれが並んでいた。
直本賞の女流作家、プロ野球の球団オーナー、敏腕音楽プロデューサー、アメリカの人気女優、有名大学教授に経済界の大物……。

「さすが巨匠を偲ぶ会だわ……わっ、TVカメラまで入ってる」

私は顔をしかめた。これは哀ちゃんと新一がTVカメラに撮られないことを祈るしかないな。
と、私はマスコミに囲まれている政治家に目をつけた。

「あの人確か……」

彼の名前は呑口重彦、収賄疑惑で紙上を賑わせている政治家である。
明日にでも捕まってしまう彼は、組織にとってすぐにでも抹殺したい人物の1人だろう。

「さて、新一達と合流しなきゃ……」

周りに聞こえない程度の声で呟いた時、ふと後ろに人の気配を感じた。人だらけだから人の気配がするのは当たり前だけど──周りの人とは違う、妙な気配だった。
私達はするりとその人の前から姿を隠し、気配を消して今度はその人の後ろに立った。

「……何かご用ですか?」

偶然カバンに入っていたソーイングセットのハサミを相手に突きつける。
相手はフッと笑って言った。

「A secret makes a woman woman.」
「!?」

女は秘密を着飾って美しくなる……?
不思議に思って相手を見てみると、アメリカの人気女優、クリス・ヴィンヤードだった。

「クリスさっ……!?」

なぜ彼女が私の背後にいたのか。私は彼女と一度も面識がないはずなのに。
よもや相手を間違えたか。私は咄嗟に周りを見回すが、その前にクリスさんは人差し指を「シー……」と口の前に立てた。

「いい?瀬里奈……世の中には知る必要のないこともあるの。この意味……分かるわよね?Russian?」

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