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白い雪【名探偵コナン】

第24章 甘く冷たい宅急便──悪夢


──瀬里奈side

「風強いなぁ……」

今日はポアロのシフトの日。私は店の外を箒で掃いていた。
ふと足元を見ると──

「あら、大尉じゃない!」

夕方になるといつも餌をねだりに来る猫だ。
ポアロでは私と梓さんに懐いている。

ちなみに大尉という名前はマスター命名。ポアロの所によく来る奴ってことで、名探偵ポアロの友人・ヘイスティングズ大尉から取ったらしい。まぁ首輪がついているから、元は誰かの飼い猫だったようだが。

「遅かったわね……。ちょっと待ってて」

私は梓さんに言って、2人で大尉に餌をあげた。

「はい、お待たせ!……ん?」

私は大尉の首輪に挟まっていた紙を取った。

「何だろ……」
「何ですか?」

梓さんに訊かれ、私は彼女にもそれを見せた。

タクシーのレシートだ。所々文字が消えている。
印刷ミス?いや、違うな。これは──

「瀬里奈さん?何してるんですか?梓さんはマスターが呼んでますよ!」

安室さんに呼ばれた。

「あ、安室さん……。ちょうどよかった、実は……きゃ!」

突然風が強く吹き、私が手に持っていたレシートは吹き飛ばされてしまった。

「あーあ……」
「何だったんですか?」
「いえ、何でもないです……。すみません」

私はとりあえず曖昧に笑ってその場を流した。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「え?タクシーのレシートが消されていた?」

大尉がご飯を食べ終わり、私はお皿を下げた。
そして話は先ほどのレシートの話に戻る。

「ええ……。確か『cor』と『P』と『se』って所以外が消えてて、印刷ミスかなーっと思ったんですけど……ね、梓さん」
「そうそう……。それに、大尉の首輪がものすごく冷たくて……何ででしょう?」

2人で不思議そうな顔をする。
「この猫が毎日ここに餌をねだりに来るのを知ってるのは……」安室さんが梓さんに訊く。

「割と最近来るようになったから……。知ってるのは私とマスターと瀬里奈さんと安室さんと……後はコナン君くらいですけど……」

コナン君が知っているということは──彼の身に何かあったのか。
私は梓さんにエプロンを預けた。

「ごめんなさい、私早退しますね!急用ができたとか言っといて下さい!」

私は安室さんとは反対方向に駆け出した。

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