• テキストサイズ

白い雪【名探偵コナン】

第22章 怪盗キッドと赤面の人魚(ブラッシュマーメイド)


「しかしこれが磁石だとしても、宝石亀が消えた謎は解けないんじゃねぇか?」

小五郎さんが怪訝そうに言った。中森のおじ様も同意する。

「そうだな……まさかあの亀が磁石にくっつくわけじゃあるまいし……。宝石の周りの飾りはネックレスがゴールドで……金は磁石にくっつかんし……。くっつくとしたらネックレスの留め金くらいだが……」

そう言うおじ様に、私は不敵に笑ってみせた。

「あら、おじ様は気づいてないんですか?亀の腹にもたくさんついていたじゃないですか……」
「おいおいありゃー宝石で……」

小五郎さんが言うが、私はフッと笑った。

「そうですね……あれが全て本物の宝石なら……の話ですけどね」
「本物の……ってまさか!」

小五郎さんがぎょっとしたように言う。

「そう……恐らく、腹にあったアレは全て合成ダイヤ……。合成ダイヤを作る時に使う溶剤の中に含まれる鉄が、インクルージョンとして結晶中に取り込まれる場合がありますし……」

そう言うと、蘭ちゃんと園子ちゃんが「すごい!」と感嘆の声をあげた。

「まぁ、亀は水の中だし、磁力だけで固定するのは難しいですけど……プレートの裏に引き寄せる程度なら、出来ると思いますよ?というか、それだけで十分ですし……」

そう言って私は小五郎さんにライターの状態を確認してもらう。
すると──

「じ、磁石だけじゃねぇ……。プレートの裏側のガラス部分にベットリ粘着物が……」

亀の餌に砂鉄を少しだけ混ぜ、プレートの内側にくっつくように撒いておく。そうすれば嗅覚が鋭敏な亀は、それを食べるために水槽の底からガラス沿いに浮上し、まんまとキッドの罠にはまるというわけだ。
餌を撒く仕掛けを付けていたのは恐らく水槽の上の照明。カーペットで水槽を覆った時にでもその仕掛けを作動させたのだろう。
亀の体長は10㎝程度。あのプレートの大きさなら亀はすっぽり隠れて前からは見えないだろうし。

「ん?ちょっと待て……プレートの裏に亀が貼り付いていたんなら……何で今、いないんだよ!?水を抜いて捜しまくったのに!」

中森のおじ様がそう言った。なぜかって?それは──

「誰かがこっそり剥がして、今も懐に忍ばせているからです……。1人だけいるでしょう?ボディチェックを免れた人が……」

隠しているのは、ボディチェックの前に頬を抓られてキッドじゃないことを証明した──

/ 493ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp