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白い雪【名探偵コナン】

第20章 漆黒の特急──ミステリートレイン


次に来たのはD室の小蓑さんと住友さんの部屋。

「ええ……あの火事のことは忘れられませんわ……。あの火事のせいでこの車椅子の世話になっているのですから……」

小蓑さんは火事で足に怪我をしており、他の人のように廊下を走るのは無理。
というわけでメイドの住友さんに走ってもらうことになった。

「ねぇ!メイドさん結構走るの速いけど……何かスポーツとかやってたの?」

小蓑さんはコナン君の質問に答えず、煙管に火を付けた。

そして最後にやって来たのは一番厄介な人の部屋。

「はぁ?確かに私はあの火事で亡くなった大金持ちのお孫さんの婚約者で……あの業火の中、助け出されたのも事実だけど……だからって何で廊下を走ってみせなきゃいけないわけ?」

出波茉利さんの部屋。
グダグダと文句を言い続ける出波さんに、世良さんが軌道を変えた。

「じゃあさ、部屋で見つけたっていうあの腕時計、あれから鳴ったりした?」
「見ての通り置きっ放しにしてるけど鳴ってないわ……」

出波さんはチェーンロックの向こうにあるソファを指差す。

「ホラ!ソファの上に置いてあるでしょ?」

あれ?

私ははて、と思った。

確か、室橋さんの遺体を見つけた時……見えたはず……。
扉の隙間から……向かいのソファの弾痕が……。

横にいたコナン君を見ると、彼も不思議そうな顔をしていた。

「……おかしいよね?」

自分が気づいたことを省略しすぎの問いで訊く。コナン君は分かってくれたらしく、こくりと頷いた。


何とか宥めすかして、出波さんにも廊下を走ってもらったが(私のファンらしく、私がお願いしたらあっさりOKしてくれた)、本当に意味はあるんだろうか……?

「とりあえず、撮ったムービーを子供達にも見せてくるよ!」

世良さんがそう言って私達と別れた。

「あ、世良さん……」
「ん?」

世良さんがこちらを向く。
私は彼女の顔を見て、ニコッと笑った。

「ううん、何でもない。ムービー、頼むね?」
「……?ああ!」

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