第16章 映画編・迷宮の十字路 〜後編〜
「武器になるモン、何かないんか……!──!?」
──天井の方まで引き出しのある、不思議なタンスだった。
それを見て和葉が変な顔をする。そして「あっ!」と気づいた。
「……『刀は弁慶、弓矢は六角の引き出しにしもとけ』……!」
そして平次に進言する。
「平次!刀は弁慶の引き出しにあんで!」
「何!? このタンスでか!」
「うん!」
和葉が大きく頷く。
けれど、引き出しはたくさんありすぎて、どこが“弁慶の引き出し”なのかが分からない。
そこへ──
ガッ、ガッ、ガッ!
外の奴らが斧を持ってきたらしい。扉を破ろうと斧を扉にぶつけていた。
(この形……どっかで……)
和葉がそれを不思議そうに見る。そしてハッと気づいた。
「この引き出しの線、京都の通りと同じとちゃう!?」
そして平次がタンスを見ると──真ん中を縦に真っ二つにしている広い線の上下には烏、横に真っ二つにしている広い線の左右にはタコが書いてあった。
「分かった!この線は烏丸通り、こっちの線は蛸薬師通りや!……待てよ、もしかして地名で引き出しに名前付けてんとちゃうか?」
「地名?」
和葉が怪訝な顔をする。
どんどんと扉が壊されていく。
「そうや!六角は六角堂!弁慶は……」
そして思い出したのだ。前にコナンと義経と弁慶のゆかりの地を回った時のことを──
「“弁慶石”や!」
そして閃く。──「手毬唄や!えぇ〜……まるたけえびすに……まるたけえびすに……その先は何やったっけ〜……」
「あぁーっ、クソ!思い出せん!」
頭をガシガシと掻いていたその時だった。
「まる たけ えびす に おし おいけ
よめ さん ろっかく たこ にしき──♪
……平次!三条はたこの2つ前や!」
和葉が手毬唄を歌った。
「お、おぉ!」
たこの2つ前……麸屋町は3つ目……!
「ここや!」
そこへ──
「覚悟せぇ!」
西条が突っ込んできた。