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夢クラシ

第1章 振り払う手


ここにいちゃいけない。

ここにいたら、
夢が夢じゃなくなる。

逃げなきゃ。

「どうした?」

今まで普通に聞こえた声が
今はノイズが混ざっているような気がして
耳を劈くようで

聞いていられなかった。

「おい」

「あっ…ごめん……」

目の前の男は私を心配して
手を伸ばす。

バシン!!!

「……っ、痛」

さっきまで手がみえてたのに、
今は戸惑いの表情を浮かべた人が見えた。

「あ、ごめん、なさい…」

「…俺、なんかした?」

「いや、そうじゃないんだけど…ごめん。
今日は帰りたい。」

「そっか…」

私は俯く。
顔なんか見てられない。

地面には枯れた花。

あぁ、これは私だ。

水を与えられずに萎れた花は私を慰めた。

「それじゃあ。」

「うん。また明日。」

「……」

私は歩き出す。
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