第8章 第八章
亀甲さんはぐっと声を詰まらせるとごめんね…と小さく呟いていた。
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「お帰り……って、一体なにがあったの!?」
「主…ごめん…」
「えっ、なに…検非違使にでも出会ったとか?いやでも…みんなレベル見てもカンストしてるし、強いと思ってたんだけど…それに刀装も死んでないよね?」
夜戦は選んでいないし…槍パだけとか薙刀パだけとかにでも出会ったのか?それよりもそんな検非違使ってありなの?と首を傾げてしまう。しかしぶんぶんと首を振った大和守くんは申し訳なさげに私の方を見ると、キッとボロボロになっている和泉守さんと陸奥守さんを強く睨む。
「まぁまぁ、安定…悪気があった訳じゃないしさ」
「だって!何回止めても喧嘩ばっかりやってさ!」
「喧嘩でボロボロになったの…?」
「すみません…兼さんを止めに入ってたらこの有様になってしまって」
私の振り分けが駄目だったのだろうか…上手くやってくれると思ってたんだけど。そう困ったように表情を曇らせる私に加州くんがコソッと小声で声を掛けてくれた。
「ごめん主…一言言っておけば良かったんだけど、あの二人ってこの本丸で一番相性悪かったんだよね」
「やっ、やっぱりそうなんだ…」
「他の本丸じゃ喧嘩するほど仲がいいとかいうんだけど…ここは相性最悪でね」
毛嫌いとかそんなモノじゃないくらい、顔を見ただけで刀が飛び出して来るレベルらしい。それはまた…一振り一振り聞いておけば良かったと反省する。私は先ず手入れをさせて欲しいと言い部屋を分けてさせて貰おうと足を運んだ。
「本当にごめんなさい…そんなに仲が悪かったなんて」
「…いや、主が謝る事じゃねぇよ。俺も悪かったな…流石に大人気なかった」
私は今和泉守さんの手入れをさせて貰っている。ぽんぽんと打粉を軽く押し当てながら謝罪する、悪気があったのか気まづそうに私から視線をそらして見えた。
「確かにここまで犬猿の仲だったと知らずに構成した私に非がありますけど、無茶はしないで下さい…喧嘩で破壊されても困りますよ」
「!…悪い」
するすると頬を指先で撫でながら、表情を歪めれば和泉守さんはそっと私を抱き寄せて来た。普通ならここで照れて怒っていい所だが、和泉守さんは不器用な手つきで私の背中を撫で続ける為怒る事も失せてしまった。すっぽりと入ってしまう私の身体にぽんぽんと背中を叩かれ安心するように身を委ねる