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【血界戦線】SOAK IN BLOOD

第6章 型にはまった感情






「おー名前も今から出勤か?」


『ザップ・・・』


か細い声と共に不安そうな悲しそうな顔で振り向く名前
にぎょっとしたザップは一瞬固まり
いつもの能天気な馬鹿面に戻る

「どうした、2日目か?」

『黙れ。違うから』


少し短気な彼女がその一言を返したのみで
また、少し悲しそうな顔をする名前の表情に驚く。


「ど、どうしたんだよ」

『・・・・どうしたらいいかわからないの』

今にも泣き出しそうな顔で名前は事務所の扉を開けた
メンバーの視線が一斉に集まる


「名前さんおはようございます!ザップさんも」


『おはよう』

「俺はついでかよ!」


「名前そんな顔して何かあったのか?」

「どうしたんだい?」

すぐにいつもと様子の違う名前に、クラウスとスティーブンが声をかける


『ーーークラウスさん、スティーブンさーん』


2人に声をかけられると名前は泣きそうな顔を更にくしゃくしゃにし
クラウスに駆け寄り抱きつく


「お」

「名前?」


僕の胸も空いてるんだよと、冗談ともとれる本音を投げかけ
用のなくなった両手を下げる。

グリグリとクラウスの大きな身体に頭を抑えつけながら
『ーーーーーー』もごもごもごと話す。


「え?なんて言ったんだい?」


「名前泣いているのか?」

『泣いてない』

行き場がなくさまよっていた手を名前の頭の上に乗せる

その大きな手の安心感に更にきつくクラウスに抱きつく手に
力を入れる



名前とクラウスは非常に仲がいい
名前は異常にクラウスには警戒心がなく
心置きなく甘えている印象を受ける。そんな関係に
スティーブンは密かに羨ましいと思っており
それはザップも然りだった


「初めに気付いたのは俺だってのによ」

「ザップさん空気読んでくださいよ」

「本当に心がせっまい」

「うるせーぞお前ら」


クラウスの柔らかな香りに鼻を押し付け胸いっぱいに空気を吸い込み
一呼吸おいて、クラウスの顔を見上げると


「落ち着いたか?」

安心する声色に
うん、と首を振り
『ありがとう』とお礼を言うと

何も聞かずに目元を緩めてくれる優しさにもう一度
ぎゅっと抱きしめる

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