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蜘蛛の娘 [H×H長編]

第2章 一次試験


二次試験開始に向け
辺りの空気が緊張感を孕み出す。


その時


ゴンと一緒にいたはずの銀髪がルカの隣に並んだ。



「どしたの?キルア」

「……な~にが
『ヒソカなんか見なかったけど』だよ」

「!」

「やっぱお前、只者じゃねぇのな」



挑むような光りを宿した双眸が迫る。

そして、ルカが何事か言葉を紡ぐまでもなく



「ま、面白そうだからいいんだけど」



という台詞を残して
キルアはゴンの隣へと戻って行った。






ルカはしばらくの間、数時間前に出会ったばかりの少年達から視線を外すことができなかった……



そして、彼女は自分の口元が
弛んでいくのを感じた。



「ふ」



口元だけでなく、頬さえも弛んでいくのを
止めることが出来ない。



嬉しい



嬉しくて笑っていた。







ルカにとって
世界は幻影旅団そのものだった。



ビックリ人間の万国博覧会は慣れたもの。
右を見ても、左を向いても能力者。




(でも)




同い年の子の身体能力の高さに驚いたことは
ない。

(ゴンて犬並みの嗅覚してるんだもん)



同い年の子の気配を感じられなかったことは
ない。

(さっき、キルアが側にいたの
気付かなかった)








世界はクモだけだった。

それを疑問に思ったことはない。
不満を感じたことなんか、もっとない。



(でも)





「……世界は、ひろいなぁ」

「? 何だって?ルカ」



零れ落ちた独り言に、隣にいたレオリオが反応する。
その横で、クラピカも不思議そうな顔をしている。



「ううん、何でもない!」





シャルに一泡吹かせたくて
ほとんど衝動的に来てしまったハンター試験だけれど……



それ以上の、何かがあるのかも知れない。



キルアに興味をもって、

ゴン達と一緒になって、

ここまで来たことも、そのひとつなのかも知れない。








今、まさに二次試験が始まろうとしている。





緊張に静まりかえる受験生の中にあって

ルカはひとり

これ以上にないくらいの期待を感じていた







第2章 一次試験 ー完ー
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