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赤い右眼 【東京喰種】

第1章 赤い雪


「…あ…あぁ…おか…おかあさ…ん…
   おかあさん…」
真っ白な雪の中にうずくまり頭を抱える少女
少女の真っ赤な右目と真っ黒な左目が見つめる先は
真っ赤な雪と骨。
「ごめ…なさ…い…うぅ…っ…」

いつか、この瞬間が来ると分かってた。
私は、喰種だ…。
お父さんも喰種だった。
お母さんは…人間だった…。

喰種の食糧は、人間の肉。
喰種と人間の間の子供ができる可能性は、非常に低い。
なのに…なんで私は、産まれてきたんだろう?

『人間を喰べるなんて…もうしない』

あんな事さえ、言わなかったら…喰べてたら…
私がお母さんを喰べてしまうこともなかった…のに。

なんで私は…隻眼(セキガン)の喰種に…産まれたの…ッ!!

「…なんだ?コレ」
ハッと我に帰ると同時に嚇眼(カクガン)が元の黒い瞳に戻った。
少女の眼に映ったのは、一人の小年だった。

「…誰、です…か」
「あ?まずテメェが名乗れ」
何、この人…お母さんの骨見ても…叫ばない…。
イカれてんの…?!何、コイツ…。

「…早瀬…陽暮(ハヤセ ヒグレ)」
「…陽暮か。おもしれぇー匂い、してんな?」
彼はフッと笑って私と同じ目線に座り込んだ。

「あなたは…?」
「…俺は、霧嶋絢都(キリシマアヤト)だ」

そう言って彼は、よく分からない不思議な笑を浮かべた。

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