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☆2016企画バトンリレー☆

第1章 2




▼視点:日向翔陽


「いってきまーす!」

いつものように玄関を飛び出し、愛用の自転車にまたがる。山を登り坂を下り、こぎ続けること三十分。ようやく見えてきた小高い丘にあるのが烏野高校だ。

少し疲れたので休憩に、と古びた坂ノ下商店の前で止まる。ふと、誰かに呼ばれた気がして振り向くと、そこにはブンブンと手を振る同級生の姿。

『日向ー、おっはよー!』

「あ、さん、はよー!」

おれの隣に立ち止まるさん。少しの風と共に、ふわりといい匂いがした。

…じゃなくて!さんはバレー部のマネージャーで、おれと同じクラス。いつ見てもかわいい愛くるしい笑顔に見惚れていると、さんが言った。

『家の窓から日向見えたから走ってきたの。あ、どうせだから一緒に行こうか』

「おう!」

自転車を押しながら、坂を登る。昨日観たテレビがどうだとか、今度の小テストがノー勉だとか、とりとめのない話をする。

そしてちょうど校門が見えてきた頃、後ろから猛烈な勢いで迫ってくる何かに気が付いた。ドドドドドッという音の正体は影山。

「日向ァ――――――ッ!!」

「ゲッ影山!?ごめん、さん!」

『え、ちょ、日向!?』

さんの制止も聞かず、おれはチャリにまたがり猛スピードでこぐ。ギュンッと加速して一気に校門に滑り込む。おれと影山が校門に着いたのは、ほぼ同時だった。

「ふっふっふ、おれの勝ちだね~」

「ふざけんな、俺に決まってるだろ」

「影山よりおれのが早いしぃ」

「んだとコラ!?」

ぎゃーすか言い合いをするおれたちに、さんが苦笑しながら言った。

『日向のがちょっと早かったかな』

「ヤッター!」

「クソ、これで同着か…」

おれと影山の"どっちが先に着くか競争"は今のところ引き分け。だいたい今日みたいにギリギリで勝敗が決まる。

『っていうか、二人とも!朝くらいもう少し静かにしようよ…ね?』

「「っうす///」」

首を傾げて笑うさんがかわいかったので、思わず赤面する。隣の影山を見ると、耳まで真っ赤。

「おやおや、影山クン?」

「るせぇ、日向、黙れやボゲッ!」

『影山、ボキャブラリーが…』

騒がしいままに、おれたちは朝練を行っている体育館へと向かった。

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