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人魚姫ストラテジー【HxH】【裏】

第12章 声と少女


「ルルの名前を削除して携帯に電話をしてみようと思うんだ。」
「それはいい案。彼女の声と周りの音から推測出来るだろうしね。」
「…ヒソカがそれを狙っているとしたら?」
マチの一言に二人が黙る。薄々それは思っていた。
あまりにも事が簡単に進んでいる。
疑問を抱かずにはいられない。
「まず、ヒソカだ。」
「簡単に答えるかな。」
「まあ無理だろう。」
言いながらも携帯を片手に電話番号を探り、コールボタンを押した。
ワンコールしてすぐ奴は出た。
「もしもし、団長から電話なんて嬉しいね。」
くくくと笑うのが聞こえた。
「折角本をあげたのに、まだルルちゃんの名前を消していないんだね。」
「当たり前だ、ルルの声を最初に聞くのはお前じゃない。俺だ。」
「随分余裕じゃないか…。」
「ルルは無事なんだろうな。」
「んーそうだね。ちょっと衰弱してしまったけどね。彼女、何も食べないんだもの…。」
「くっ…!ルルに代われ!」
「いいけど、声はない儘だよ?」
「煩い。」
「はいはい。」
ヒソカの声が遠のくと、しばらく無音が続いた。
二人はまだ一緒だということがわかった。
不本意だが、一人取り残されているよりマシに思えた。
「…。」
静かな息遣いが聞こえる。
「ルル!無事でよかった…。」
「…。」
「必ず迎えに行くから、ちゃんと飯を食ってくれ。心配するだろう…?」
情けない、少し泣きそうになってしまう。
クロロは震える声で続けた。
「離れていてもお前のことを想ってる。」
「…。」
ルルが赤面しているのが電話越しでもわかった。
いつものように、息を少し止める癖。
それが可愛くて仕方がない。
「はい、時間切れ。」
ヒソカの猫なで声に代わる。
舌打ちしてしまうほどに苛々と神経に突き刺さる。
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