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人魚姫ストラテジー【HxH】【裏】

第10章 月潮と少女 裏


手を離そうとしているルルをぎゅっと強く抱きしめた。
薄手の服を着ていた彼女の肌はすっかり冷たくなっていた。
「違うんだルル、愛してる。傍にいてくれるだけでいい。
今まで無理させてたなら謝る…謝るから、遠くへ行かないでくれ!」
公園で抱き合いながら告白、どこの映画やフィクションだと馬鹿にしていたが、一つの現実だった。
「嫌ならもう何もしない。ただ傍にいて欲しいんだ。」
矛盾しているのはわかっている。もし嫌なら彼女は出て行くだろう。
今は例えそれが出来なくとも、一人で生きる術を身につけたら出て行くだろう。
だが唯一の俺が言える我儘だった。この先一生一緒にいたい。
「いていいの?ずっと、くろろさんといていいの?」
涙ながらに彼女はそう聞いてきた。
凍えそうだった心が一気に暖かくなった気がした。
嗚呼、なんでルルからその台詞が聞けただけでここまで浮かれてしまうのだろうか。
一層強く抱きしめ、
「そんなこと言うと、一生どこにも出さないぞ。例えお前が俺を嫌いになっても、絶対に。」
彼女は俺の胸でこくこくと頷く。

さあ、帰ろう。我が聖地へ。



「くろろさん、いつもとちがうにおい…。」
ルルが背広に顔を埋めながら口パクで言った。
ああ、さっきの女か…と思ったが口には出さなかった。
「ちょっと出掛けてたからな。」
「かえってこないかとおもって、ちょっとびっくりした。」
安堵の表情で彼女が言うと、罪悪感で息が止まりそうになった。
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