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第10章 木兎さんとデート


夕食後、片付けをしているとカウンターから身を乗り出してこちらを覗く人影。
一瞬だけ顔を向けて誰かを確認する。

「木兎さん、何をやってるんですか。」
「りらちゃん、そっち入ると怒るだろ?」

それは、貴方がうろちょろして邪魔だからです。
思っていても正直に言うとしょぼくれそうだったので、声には出さなかった。

「何か用ですか。」

話を切り換えるように新たな質問をする。

「公園デート、いつしてくれんだよ。前に弁当持って公園行こう、って言ってただろ。」

片付けをしている手が止まった。

あれだ、初日に酔っ払った皆に口説かれた時のやつだ。
だから単純な人の話にノってあげるのは嫌だったんだ。

「ちなみに俺、明日は1日休み!」

行かない、とか言うと落ち込んで面倒臭いだろうし、仕方無いから半日くらい付き合うか。

「じゃあ、明日。朝ちゃんと起きて頂けるなら。」
「おう!赤葦に早めに起こして貰う!」

それ、自信満々で言う事ですか。
デートの日くらい自力で起きろよ。

色々と思う事はあったけど、話を続けていたら片付けが出来なくなってしまう。
聞こえないよう長い息を吐いて片付けを再開した。
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