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【イケメン革命】月小屋へようこそ【R-18】

第5章 DAY2 黒の兵舎



フェンリルが
一晩で得た生々しい『情報』の共有を受け

かなり気持ちが重くなったルカは、買い出しのために外へ出た。



外の花壇には、いつものようにシリウスが花に水をやっている。



「ルカ、買い出しか」


「うん……今日の夕食、デザートを頑張ろうと思って」


「そうか…なんか手伝うか?」


ルカは弱々しく笑みながら首を横に振る。

「大丈夫」


「ん…そうか。あまり深刻に考えるなよ」


「…うん、ありがとうシリウス」


シリウスはふっと優しく微笑みながらルカの頭をぽん、と撫でる。


「…きっとアリスはお前以上に不安なはずだ」


「……!」

シリウスの言葉にルカははっとなる。



「不安なアリスを笑顔にするデザート、作ってやれよ」


「…うん、そうする」


ルカは何かが吹っ切れたように微笑むと

セントラル地区へ買い出しに向かった。







*********

初日はヨナがほぼつきっきりで一緒に居てくれたが
彼らも一応軍人なので

やはり訓練や会議など、やることはいろいろとあるようだ。

今日レイアの元を訪れる者はいなかった。



(さすがに暇かな)


特に外出の制限はない、と言われたものの
どこに何があるのかも分からないし
かといって誰かに案内してもらうのも気が引ける。


(とりあえず…庭にでも出てみようかな…)


ミントグリーンのワンピースを着たレイアは
赤の兵舎の庭を歩くことにした。





手入れの行き届いた赤いバラの咲き誇る庭は
いい香りが漂い、歩いているだけで気分転換になった。


(はぁ…とってもいい香り。癒される)



空は澄み切った青空だ。


陽気も、暑くもなく寒くもない。穏やか過ぎるほど心地よい。


(こんなにも気持ちのいい世界なのに)


戦争勃発寸前で…

その鍵は自分が握っている。



(今日来るのは確か…)

あの美味しいデザートとミートパイを作ってくれた

(ルカ、だったよね)

ガーデンでの夜、会っているはずだが記憶には残っていない。




(フェンリルは大人しくて優しいって言ってたけど)

不安があることに変わりはない。



(そうだ、私も何か作ろうかな…)


レイアはふと思いついたように
兵舎の方へと踵を返した。


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