第34章 デートをしよう

カカシはリクを病院へ運び、暗部から後輩であったテンゾウを呼び出し、見張りにつけさせた。

精神科の医者に記憶の話をすると、こうなった一番の原因はフラッシュバックだと言う。

あの場で一体リクが何を思い出したかは知らないが、こうなってしまった以上、慎重に動かなければならない。


(三代目がいなくなった今、リクのことを外から守ってやれるのは俺だけだって分かっている。
…けれど、俺はちゃんと守ってやれるのだろうか、サスケの側に居させてやれるだろうか。)


そんな事を考えながら、廊下を歩く。

リクの記憶を知る人間は、この里では俺だけになってしまった。

三代目にはリクがうちはであることは言ってはならないと命令を受けた。
しかし、サスケの側に置いておくようにとも言われたのだ。

初めてそう言われた時は、三代目が何を考えていたのか分からなかった。
だが、いつしか、たった一人残された"うちは"のサスケへの謝罪の念があるのではないかと思い始めた。

俺はイタチと暗部をやっていた頃、サスケ達の話をよく聞いていた。

ー

サスケとソラは、いつも俺が任務から帰ってくると玄関まで走ってくるんです。

サスケはソラの事大好きなんですけど、素直じゃないんです。

俺は、可愛い弟と妹を持てて幸せです。

ー

任務の合間に語るイタチはいつだって2人を想い、幸せそうだった。

何故、そんな彼がうちはの虐殺など行い、サスケを闇に突き落としたのか。

その答えこそ、三代目の「リクとサスケを側にいさせる」と言う方針で見えてくると思っていたが…

イタチの事は愚か、彼女が側に居る事で、サスケの焦りは増すばかり。

ただ、愛している…というだけではない。
一度孤独に突き落とされた経験からくる執着のような、はたまた独占欲のような…そんなものを、サスケはリクに抱いているのだ。

今回の件は典型的だった。
サスケにとってリクは、一つ間違えればイタチを思い出す媒体となってしまっている。
今日のように暴走してしまうほど、危うい状態の時もある。

一体何が正解で、何が間違いなのかすら分からない。
相談し、共に考えてくれる者もいない。

2人の事に頭を悩ませながら、カカシは尋問室へと入っていった。