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大切【NARUTO】

第32章 日向





『ナルトくん、一回戦勝ったの?』


「もちろん!!」


『シカマルは?』


「めんどくせーから途中でやめた。」


めんどくさいって…。
まあシカマルらしいか。

でも、その顔からして、結構いい勝負だったんでしょう?


『二人の試合見たかったな。もう、全部カカシ先生のせいよ…。』


「厳しいねぇリクは。
まあ、なんだ。こんな派手に登場しちゃってなんだけど、もしかしてコイツら失格になっちゃった?
ほら、遅刻したでしょ?二人。」


そうだ、それが一番大切。
私たちは試合に出られるのか。

サスケと私は、静かにその答えを待つ。

しかし審判のゲンマはニヤリと笑う。


「…大丈夫、サスケの試合は後回しにされました。失格にゃなってません。」


「アハハ…そりゃ良かった良かった!」


とりあえず第一段階はクリアだった。
これもやはり、うちはブランドのお陰だろう。


『…という事は、シカマルも終わった事だし!私の出番ね!やるぞー!』


来て早々試合ができるなんて、なんて素敵なの!

何度か素振りをして、うちはブランドに負けて悔しいという私の心を持ち上げようとする。


…が。


「リクの試合はなくなったんだ。相手の棄権で不戦勝だよ。」


『………はい?』


今、ゲンマさんは、なんて言った?
私の試合はなくなったって?


「クク…じゃあ俺だ。リク、下がっとけ。」


『えええええ!?いやだよ!!
ゲンマさん、いまから私とサスケ戦うから!勝った方と我愛羅にしようよ!』


「無理いうなよ。2回戦があるだろ?いまからはサスケの試合だ。」


なんてこと。
試合、楽しみにしてたのに。

あんぐりと口をあけ、全く動かなくなった私に呆れたのか、カカシが大きく溜息をついた。


「ほら、いくよリク。」


『なんなの…本当に…。』


ここまで沈むかというほど、心が沈む。
そんな私の頭をぐしゃぐしゃと撫でる手。


「決勝でやるぞ、リク。」


『負けないでよね。』


「フン…当たり前だ。」


悔しいけれど、本当に本当に悔しいけれど、サスケに向かって拳を突き出す。
それにニヤリと笑い、サスケも合わせてくれる。

『勝て』という想いを伝え、私はナルト、シカマル、そしてカカシと共に観覧席へ登った。





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