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大切【NARUTO】

第30章 中忍試験・絆





『…何で、何でなの!?』


結果は、ダメだった。

どうすれば波の国の時のように、力を引き出せるかも分からない。

というか、どういった条件で力を発揮できるのか。
それすらも分からない。

何の為のセイレーンの力なのか。
自分の力を、これ程までに憎んだ日はない。




もう一度、歌ってみる。




それでも結果は変わらなかった。


『何なの…何がセイレーンよ、何が歌の力よ…っ!
こんな力、価値なんてないじゃない!』


悔しくて、涙が止まらない。
波の国以来、短くなった黒髪をぐしゃぐしゃと掻き毟る。

サスケを苦しめている呪印を取り除いてあげることすらできないなんて。

守ると決めていたのに。


「ただいま。トラップも仕掛けてきたわ…って、リク!?なんで泣いてるの!?」


『はは…。ごめん、なんか急に。』


まさかこのタイミングでサクラが帰ってくるとは思わなかった。



泣いてる所、見られたくなかった。



急いでゴシゴシと目を擦ると、その手をサクラに掴まれた。


「擦っちゃだめ!女の子なんだから!」


そう言ってサクラはタオルで涙を拭ってくれた。
そんな彼女の顔を見上げると、無理に笑っていた。

恐怖に、打ち勝とうとしている。


なのに私と言ったら…


『ありがとうサクラちゃん。もう、大丈夫だよ。』


サクラに礼を言い、リクはニコリと笑った。

こんな事で泣いてる場合じゃない。
きっとサスケは、呪印にだって負けないはずだ。

泣いてる暇があるならば、敵が来た時の為に、サクラの仕掛けたトラップの次の一手を考えなければならない。


(…メソメソしちゃダメ。私がしっかりしなきゃ!)


リクは頬をパチンと叩いて、気合いを入れ直した。





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