• テキストサイズ

大切【NARUTO】

第30章 中忍試験・絆





『私は、サスケが好きだよ。』


ズキ…と胸が痛む。

きっとそうだと思ってた。
最近のリクの、サスケと絡む姿が違って見えたから。

女の勘は鋭い。

だから、リクがそう言う事を覚悟して聞いた。

それでもやはり、ダメージは喰らうものだ。


『…でもね、サスケは違う。
ただ私を、大好きだった幼馴染に重ねてるだけ。』


「…幼馴染?」


サスケに幼馴染がいた事は、初耳だ。
それは、先程サスケが言っていた「ハルさん」と関係あるのだろうか。

続きを聞きたくて、首をかしげると、リクは悲しい笑顔で続きを話し始めた。


『サスケの幼馴染と私が、瓜二つなのよ。自分でもそう思うほど、そっくり。
いつもサスケが身に付けてるこのペンダント、その子からもらったんだって。』


そう言って、リクがサスケの首元を指差す。
そこにはアカデミーの頃から変わらず、当たり前のように存在するペンダントだ。




そういえば、まだアカデミーに入りたての、リクが木の葉にいなかった頃。
一度「そのペンダントは何?」と聞いた事がある。


するとサスケは「ここに居ない奴からの贈り物だ」と答えた。

あの時の悲しそうな彼の顔は、今でも忘れる事ができない。




『その彼女の名は、うちはソラ。
あのうちは一族の事件の時に、死んだらしいわ。』


「…そう、なんだ。」


知らなかった。
サスケがどんな事があっても肌身離さず付けていたあのペンダントに、どれほどの想いが詰まっていたか。


「それって、ハルさんって人、関係ないの?」


『うーん…その人の事は聞いた事ないな。』


「そっか…。」


リクでも知らないのか。
誰なんだろう、ハルさんって。

…わからないなら仕方ない、か。
いつかサスケ本人に聞いてみよう。
聞けるタイミングがあれば、だが。


『サスケにこの話をしたこと、内緒よ?』


リクはニコリと笑い、唇に人差し指を立てている。

でも、纏う空気は悲しそうで。


胸が痛んだ。


けれどそれは、先程に感じたものと別の痛みだった。






/ 572ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp