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【R18】君は華より美しい(仮題)

第5章 売られた喧嘩


 ファンドレイが望むなら、受けて立たなくてはいけない。
 彼は"スブレイズ公爵令嬢のジョエル"を前にしているのだから。

「っ…!!」

 くい、と顎をすくわれたと思えば唇にふにゅ、とした柔らかな感触。

(これが…口づけ…? あたくし、今ファンドレイ様と…)

 ただ押し当てるだけではない。
 角度を変えて、それから上唇、下唇それぞれに。
 そうして何度目かの口づけを繰り返し、ファンドレイの唇が、わずかにジョエルの下唇を食む。

「ん…」

 鼻から息が漏れる。
 そっと唇が離れたので、ジョエルは瞼を上げる。

「あ……」

 ファンドレイが、情熱的にジョエルを見つめていた。
 ふわふわして落ち着かない気持ちを知ってか知らずか、彼の左手はジョエルの頬を包み込み、親指が唇を割る。
 それに釣られて口を少し開ければ、その隙間にファンドレイの舌がねじ込まれた。

「んっ…ふっ…」

 口の中をうごめくファンドレイの舌に翻弄される。
 初めてのことに、ジョエルはついていくのが精一杯だ。
 ちゅくちゅくと水音が口内から耳へ響いて、ジョエルはぞわぞわする感覚に体が支配されていくように感じた。

「ん、んっ…っは、ふ…」

 息が苦しいのに、顔を背けてキスから逃げたいとは思わない。
 ファンドレイの唇はジョエルの吐息ごと食べ尽そうとしているかのよう。
 ちゅ、ちゅ、と舌に吸い付かれてジョエルは体を震わせた。

「んふぅ…はっ…ん…はぁ…」

 ようやく唇が離れて、ジョエルは再びファンドレイをうっとり見つめた。

「舌を出して…」

 掠れた声に従って、ジョエルはぺろりと舌を出す。
 ファンドレイはすぐさまジョエルの舌をヌルリと舐め、先端をチロチロとくすぐった。

(あたくしもちゃんと応えなくては…)

 ボーッとした頭がそんなことを命令してくる。
 ジョエルはファンドレイの真似をして、小さな舌を必死で動かした。
 すると、彼がぴくりと反応したので、ジョエルは嬉しくなって彼の下唇に吸い付いた。

「んっ…」

 ファンドレイの唇からも吐息が漏れる。

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