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イケメン王宮

第1章 プロローグ


「父様!!」

「早く逃げなさい!」

ガシャンガシャン
燃え上がる屋敷に鎧の音が響く

「父様も一緒じゃいないと嫌!」

ガンッガッッ
扉を蹴り上げる音が響く
扉に亀裂が走り今にも壊れてしまいそうに歪む

「大丈夫。すぐに追いつくから母様と行きなさい」

手を引かれ隠し通路へと降りて行く
バンッと音を立て通路の扉が閉まる

「父様ー!!」

「萩、父様を信じて逃げましょう」

隠し通路は裏の森に続いている
ゆっくり扉を開く、雨の中遠くから怒号が聞こえる
萩の手を握り森へと走り出す

「母様・・父様は?」

「大丈夫。すぐに追いつくわ父様が嘘をついた事無いでしょ?」

不安に涙する娘に心配をかけないように笑顔で答える


「はぁはぁ...母さま...もう..むり」

追ってから逃げる為に休む事無く走り続けていた
いつの間にか雨は止み暗かった空に朝日があがってくる

「もうすぐよ頑張って、あの人の所に行けば.....」

森を抜けやっと町にたどり着いた
見上げた先にお城がある

「あそこに行くの?」

「そうよ、ここまで来ればもう大丈夫」

微笑みを浮かべ振り返った時
カシャンっと小さな音がすぐ傍で聞こえ反射的に萩を突き飛ばす
ザシュッ

「うっ...萩...逃げなさい...」

「っっ!!母様母様」

「行きなさい!母様は大丈夫だから...」

泣きじゃくる萩に笑顔向け、つけていたネックレスを萩の首にかけると背中を押す

「さあ行きなさい、決して振り向いてはダメよ。」

頷き泣きながら走り出す
後ろでは萩を逃がす為に母が敵を食い止めている

(母様..父様..私はこれからどうすればいいの?
助けてフェデルタ...)



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