第4章 真にやるべき事は
「やめてよ‼︎そんな言い方するの‼︎」
直に言われたビビは思わずルフィに手を出した。
「今度言ったら許さないわ‼︎今それを止めようとしてるんじゃない‼︎」
反乱軍も国王軍もこの国の人達は誰も悪くないのになぜ誰かが死ななくてはならないのか、悪いのは全部クロコダイルなのに、ビビの感情が爆発する。
「…じゃあ何で”お前は”命賭けてんだ‼︎」
平手打ちを食らったルフィはビビにやり返す、あまりに容赦の無いパンチにチョッパー、ウソップは驚き、サンジは怒鳴る。
二人の言い争いは益々ヒートアップし殴り合いになるがルフィは初めの一発以外は手を出さない為、ビビの一方的な平手打ちが続く。
「この国を見りゃ一番にやんなきゃいけねェことくらい」
「なによ‼︎」
「おれだってわかるぞ‼︎」
「お前なんかの命一個で賭け足りるもんか‼︎」
「じゃあ一体何を賭けたらいいのよ‼︎…他に掛けられるものなんて、私何も…‼︎」
その言葉にルフィが怒鳴る。
「おれ達の命くらい一緒に賭けてみろよ‼︎仲間だろうが‼︎」
「⁉︎、………‼︎」
言われてビビは今まで押し殺していた感情のタガがはずれた…涙が止めどなく溢れてくる──。
「…なんだ出るじゃねェか、涙」
「本当はお前が一番くやしくて、あいつをブッ飛ばしてェんだ‼︎」
今までの旅で自分の事より他人を優先し、どんなに悔しくて悲しくて辛くても、涙を流さなかったビビは強いと思う。だがそれではダメだ、自分一人で全てを抱え込むといつかは限界がくる。
頼れる仲間が近くにいるのに頼らないのは信頼していないのと同じだ、自己犠牲と言えば聞こえがいいがそれと同時にビビは信頼できる仲間を裏切っているのだ。
自分にはまだこんなにも頼れる仲間がいるのだと、ビビは涙を抑える事が出来ない。
「教えろよ…クロコダイルの居場所‼︎」
ルフィの目の色が変わる、他のみんなも気持ちはひとつのようだ…今、自分たちの優先すべき事は反乱軍を止める事じゃなくクロコダイルを打つこと──。
一味は気持を新たに再び歩き出すのだった。