第12章 傷口を抉る。そして…
陽が落ちた帰り道。
西谷くんからの「送ります‼」と言う、本来なら心臓が飛び跳ねる程嬉しい申し出をお断りして、懐かしい通学路をひとりでトボトボと歩く。
買い食いで、よくお世話になった坂ノ下商店を通りすぎてしばらくすると、
「ちょっと待て‼」
という声と共に走り寄ってきたのは、先程の店主(?)烏養さんだ。
「オッサン走らせんじゃねーよ」
「オッサンって…仮にも運動部のコーチでは?」
「仮じゃねー。ちゃんとコーチだ」
「そこですか?」
「うるせーよ。一人で帰んな」
そんなやり取りをして、
何故か並んで歩き出した。
送ってくれるらしい…。