第2章 クラスメイト女の子
きらきらした目で小物のコーナーに進んで行くさん。
「何を買うの?」
さんがびくりとする。
「あっ…と、リストバンド…」
何故か気まずそうな顔をするから、気になった。
「そうなんだ、俺もそろそろボロいから新しいの買おうかなぁ~」
並ぶように歩いて売場を見ると、色とりどりのリストバンドが所せましと陳列されていた。
「うわぁ、ここ品揃え良いなぁ」
「うん、バドミントン関連のアイテムも多くてよく来るんだ」
照れるように肩下まである毛先をくるくると指に絡める姿は、さっきの笑顔と同様、教室ではあまり見ない姿でクールな姫のイメージのそれとは違う。
手に取ったリストバンドはラケットメーカーでも有名なもので、レディースなのか、パステルカラーのピンクに少しレースが縫い付けてあった。
「かわいいね、それ。姫にぴったり」
こっちを向いたさんは少し怒ったような顔をしていた。あれ?何かやばいこと言った?
「私………フリルとか好きなんだけど、やっぱり似合ってないのかな…みんな姫とか言うし…。小学生までショートヘアで男の子っぽかったから、中学入って気合い入れすぎちゃったかな…」
視線を落としながら話す姿はクールさのかけらもなくて、なんだか無防備に見えた。
「ちゃんは、女の子らしくて可愛いと思うよ」
「えっ」
上げた顔は頬が紅く染まっていて、俺までなんだか顔が熱くなる。
可愛いなぁ。調子狂うなぁ。
「…でも、千石くんは、みんなに可愛いって言うじゃない」
「へ?」
まるでやきもちを焼く恋人の様な発言に、驚いて間抜けな声が出る。