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罪と罰【終わりのセラフ】

第18章 執着




思い出せないものは仕方がない。


「………」


諦めてお兄ちゃんに着いて行こうとしたが、風が吹いた事で立ち止まる。
フオラとサキラだった塵が残る場所には風で飛ばされてしまったのか、殆ど何も残っていなかった。


「…先行ってて」

クローリー
「分かった」


お兄ちゃんが歩き出すと、その隣に彼が平然と並んで話しかけ始める。


優一郎
「お前さ、元が人間だったんならそう言えよ!」

クローリー
「はぁ?どのタイミングで言うんだよ」

優一郎
「会った時だよ。俺人間です!って」


そんな事ができるのはもちろん優ちゃん。
2人は普通に話しながら去って行く。


クローリー
「はは、君って馬鹿でしょ」

優一郎
「はあ!?」

君月
「………」


そのやり取りに全員が唖然とした。
珍しい事に、お兄ちゃんも猫被りをやめていつもの口調で話している。


シノア
「あれ、怖くないんですかね」

三葉
「いや普通怖いだろ…」

鳴海
「いつどのタイミングであの化け物相手にあんな仲間感出せるようになったんだよ?」

ミカ
「馬鹿なんだよ、優ちゃんは」


相変わらず凄い言われようだ。
元人間だと分かっただけでここまでフレンドリーになれる優ちゃん。

こういう人だと分かってはいるが、こればかりは流石に私も驚いた。


君月
「でも気持ちは分かるけどな」


唯一否定しなかったのは君月。
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