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罪と罰【終わりのセラフ】

第18章 執着




名前を呼ばれてお兄ちゃんから視線を外す。


「何?」

ミカ
「今度こそ僕が守るから」

「!」


覚悟を決めたミカの言葉に声が出なかった。


ミカ
「だから心配しなくても…」

クローリー
「ははっ、逆だろ」

ミカ
「…!」


そんなミカの決意を笑い飛ばしたお兄ちゃん。
その表情はいつもの笑顔ではなく、冷めた笑いを浮かべている。


「お兄ちゃん…?」


気を許していない相手には絶対にしない表情に、馬鹿にした話し方。
それに驚いて恐る恐る声をかけるが、返事は無い。


ミカ
「どういう事だ」

クローリー
「一般吸血鬼と貴族、どちらが強いかなんて馬鹿でも分かる」

ミカ
「でも僕はクルルの血を飲んだから実力なら…」


ミカの言う通り、私がフェリドの血を飲んでいたのならミカの方が強い。
でも私も違うのだ。


クローリー
「アリスも僕と同じで実力は階級以上だ」

「………」


私はもう2人に守られる弱い女の子では無くなった。
お兄ちゃんの言う通り逆で、今度は私が守る番だ。


優一郎
「ちょっと待て、アリスはフェリドの血を飲んだんじゃないのか?」

「いいや、フェリドには飲まされただけ。お兄ちゃんと同じ第二位の血を」

ミカ
「………」


お兄ちゃんだけでなく私まで地位の詐称をしていたと聞き、ミカは固まってしまう。
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