第6章 責任
呆然と立ち尽くす私と、泣きだしそうな一ノ瀬さん。
しばらくすると、一ノ瀬さんはハッとなり...。
「っ...あっ、あの...俺...!!!」
「い、一ノ瀬さん...」
「い、いやこれは違うんだ!!裕香さんと詩織が重なってしまって...!...くっ」
慌ててきすしてしまったことを弁解する一ノ瀬さん。
耳まで赤くして必死に話す一ノ瀬さんをみていたら、今日心に残ったモヤモヤが全て消え去った気がした。
「...大丈夫です。今日は、一ノ瀬さんもゆっくり休んでください。」
笹島ホールディングスまで送ってもらった私は、赤面してオドオドしている男性を見送った。
切れ長の一重の目に、どこか悲しそうな、そんな色を浮かべている男性を────。