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生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)

第6章 焦がれる指先


唇に一瞬だけ柔らかい感触があった。頰を柔らかい栗色の毛がくすぐる
『エッチなこともハジメテ、なの』
俺の首に腕を回して上目遣いに見つめられたあと、耳に感じる吐息はやけに熱くて

『その時は優しくシてね?ロー』

優しくシてやる、当たり前だ。だからもっと…


ガバッ
「!!!」


勢いよく上体を起こして辺りを見回すと、自分の部屋に朝日が差し込み起きる時間を告げていた
いつのまに握りこんでいた掌には汗が滲んでいる
それはきっと、先ほどまで見ていた夢のせいだ

夢の中の出来事は現実に起きたこと、それもつい昨日の話である
桜の雨が降る中、一目惚れをした…儚く消え入りそうな姿に鼓動が高まり、欲しくて欲しくて堪らなくなり声を掛けた
どうにか側に置いておけないかと、半ば強引に生徒会へ引き込んだのはある種の賭け
これまた生徒会に引き込んでいた後輩2人と幼馴染だったのは思わぬ偶然だったが…まぁ好都合だと思うことにする

照れてるのか俺とは距離を置くくせに、周りには意外と無防備で放っておけない
距離を置かれたかと思えば突然俺の名を呼んだり、至近距離でキスしてきたり………煽ってきたりする


「…はぁ」

あの瞬間に、全てを奪ってしまいたかった
2人きりだったら、確実に襲っていただろう
だが彼女は、セナは…

ヴヴヴヴヴヴ…

枕元のスマホが忙しなく振動を繰り返すので手に取ると新着メールが一件
見たことないアドレスと数行の本文には

"やっほー○○だよぉ♪久々に会わない?彼氏と別れちゃって寂しいんだ(涙)慰めて〜?"

「…ウゼェ」

顔も思い出せぬ送り主のメールを慣れた手つきでゴミ箱へ
ついでに受信拒否もしておく

当時自分ではあまり自覚していなかったが、中学時代の生活は爛れていたのだと今改めて思う
こんな風に誘われれば身体を重ね、次々と身体の関係だけが重なって連なっていた
高校に入ってからは面倒になって、全部切ってしまったのだが、未練がましくこうして連絡が来ることはよくある

「そういえばセナの連絡先…聞いてねェな」
「会長〜!迎えに来ましたよォ!」

もうそんな時間か
後輩であり生徒会書記のシャチの声で我に返ると手早く支度を済ませ玄関を出る

「「会長おはようございます!」」
「ああ」

シャチと共に会計のペンギンも挨拶をしてくるので、軽く返すと辺りを見回す
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