第16章 シャボンディ諸島
(ボンチャリが無い………)
ボンチャリはシャボン玉を利用した、自転車の様な乗り物。カナエは本物を見てみたかったが、無法地帯にはボンチャリのレンタル店は無かった。
ハートの海賊団は徒歩で島と島を移動して行く。
途中、賞金稼ぎに何度か襲われたが船員達によって一掃されていた。
(皆、強いのね………)
カナエは初歩的は護身術は習ったが、猛者達を相手に通用する筈が無い。
襲われる度にパニックになり、ローの後ろに隠れていた。
「お前……早く慣れろ。」
『無理です!!』
そんな事をしている内に21番グローブに差し掛かった。
(21番グローブって……確か……)
「怪僧が暴れてる!!!」
街の中から悲鳴と、何か金属のぶつかり合う音が聞こえてくる。
「賑わってるみてェだな……見学といくか。」
(悪そうな顔………)
ローはいつものニヤリとした笑みを浮かべて街の中へ向かった。
騒ぎの近くに行くと、乱雑に置かれた木箱に座り、両肘を足に掛け指を組んだ。
(こっ………このポーズは………………!!!)
「暴れたきゃあ"新世界"へ!!!」
ノースブルー出身ドレーク海賊団船長
"赤旗" ディエス・ドレーク
「墜ちた海軍将校ドレークか………ふふ 命を拾いなさったな……マスクの人」
空島出身破壊僧海賊団船長
"怪僧" ウルージ
サウスブルー出身キッド海賊団戦闘員
"殺戮武人" キラー
ウルージとキラーが何やら揉めて暴れていた。
その騒ぎを止めたドレークが船員を引き連れて、ハートの海賊団がいる方へと歩いてきた。
『………………』
カナエは何故かそわそわしている。
「今いいとこだったのに……」
「!」
「ドレーク屋………!!お前……何人殺した?」
ノースブルー出身ハートの海賊団船長
"死の外科医" トラファルガー・ロー
(言ったーーー!!!初登場シ~~~~ン!!!!!)
カナエは何やら興奮して、悶絶している。
ドレークはそれを不審な目で見ていた。
「その娘………大丈夫か………」
「大丈夫だ………気にするな………」
その様子をキラーともう一人、キッド海賊団の船員が見ていた。
「キラーさん、あの女………………」
「………………何?」