第11章 違う。
『……ベポ…私、場違いじゃない?』
「そうかな。いつもこんな感じだぞ!」
お酒を飲み始めて少し経つと、セクシーなドレスを身に纏った女性達が店の奥から現れた。
女性達は、それぞれ男性客のいる席に着き、
お酒を作ったり、話相手をしている。
カナエ達の席にも女性が2人座っていた。
(キャバクラと居酒屋を兼ねている感じ……)
この島では当たり前の光景らしく、客の中には、カップルや女性客も当然の様に座っている。
(皆……あんなに鼻の下伸ばしちゃって……)
特にシャチは見るも無惨な顔をしている。
カナエとベポはソファの端に追いやられていた。
(まぁ……あの胸は女の私でも触ってみたい…
ワンピースあるあるの巨乳……羨ましいっっ!!)
カナエがおかしな事を考えている内に、店中の女性達が入口の方を見ている事に気が付いた。
(何だ……??)
「あっ!船長~!こっちですよ~!」
遅れてやって来たローに、熱い視線が注がれている。本人はそんな事は気にも止めていない。
(さすがトラファルガー・ロー!オーラが違うぜ……!!)
「シャチ、何だあのふざけた名は。」
「カッコいいでしょ?」
ローは特等席のベポの横に座った。
カナエはさらに端に追いやられる。
『船長さん、本は見つかりました?』
「あぁ……必要無くなった。」
『?』
カナエがベポ越しに話し掛けていると、いきなり誰かに突き飛ばされた。
「ちょっとあんた!!退きなさいよ!!」
『!?』
カナエはソファから落ちてしまった。
「カナエ!大丈夫!?……ぅわ!」
「クマ!あんたも退きなさい!!」
「クマでスイマセン……」
ベポまでソファから落ちてしまい、カナエの横で落ち込んでいる。
ソファの方を見ると、店の女性達全員がローに群がっていた。
「ねぇ船長さん。あんな子じゃなくて、私とお喋りしましょうよ」
「船長さん、私が美味しいお酒作ってあげるわ」
「私の方が美味しいわよ!」「私よ!」
女達の醜い争いが始まった。
(ローはイケメンだもんなぁ…)
後から来たローに全て持って行かれ、船員達は肩を落としている。
(頑張れ…!皆…!)
カナエは密かにエールを送った。