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例のイケメンは凶暴な男。【ONE PIECE 】

第29章 帰る方法





「ナーニ・カール島で、別行動をとった事を覚えているか。」

『うん。おじいさんに話を聞いた後だっけ。』

「お前と別れた後、引き返してもう一度話を聞きに行ったんだ。」


どうしても聞いておきたい事があり、再度食堂に入った。異世界から来た老人はまだそこにいて、ゆっくりお茶を啜っていた。

「デザートが食べたいのぉ。」

「血糖値上がるぞ。」

「パフェ。」

「チッ……。」

老人はパフェを食べながら話し始めた。
こちらの世界に来たのは50年程前。
成人したばかりで、まだ学生の頃だった。

突然現れた不審な男を、ナーニ・カール島の住人達は快く受け入れてくれた。
この島に異世界の事を知っている者はいない。元の世界に帰る方法など分からない。

長い年月が経つ中で人生の伴侶に出逢い、家族を持ち、この地に骨を埋める事を決めた。

こちらの世界に来てから25年程経った頃、島に現れたのはロジャー海賊団。
既に悪名を轟かせていた海賊の襲来。
最初は皆が警戒していたが、実際は気の良い男達で、すぐに島の住人と打ち解けた。

若かりし頃の老人が、自分は異世界の人間だと打ち明けると、ロジャー達はその世界の事を知っていると言う。長い航海で、数人の異世界の人間に出会ったらしい。


(あのお爺さんロジャー海賊団に会ってたの!?うっ……羨ましい……。
じゃなくて、その頃はクロッカスさんも乗っている筈……。だから色々知っているのかな。)


異世界の人間の中には元の世界に戻る方法を知っている男もいた。
しかし、その方法はロジャー達には不可解なものだった。

この世界に嫌われる事。

彼等はそうする事で元の世界に戻れるのだと言う。嫌われるとはどういう事なのか。
その男に尋ねても、何故かそれ以上の事は教えてくれない。

「あんた達が好きだから」

そう言って頑なに口を閉ざした。

もちろん老人は何も知らない。話を聞いても
いまいちピンと来なかった。分かったところで、もう元の世界に帰る気は無い。
その話は程々に終わり、ロジャー達は老人の異世界の話を興味深そうに聞いた後、謎が解けぬまま島を後にした。


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