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愛欲生活。【おそ松さん】

第1章 カラ松


誰が予想できただろう。
誰が予感できただろう。


『こっちへ来い、莉瑠。』


兄がキレているという事を。


『か…カラ松兄ちゃ…っ』


『どうした、何を怯えている?』


怖い、怖い、怖い…。
身体が震えて足が動かない。

逃げる事もましてや
近付く事さえ…恐ろしい。


『………どうした?』


『や、だ…カラ松兄ちゃん…
今日ね、早く帰ってきたよっ

学校終わったらすぐに
は…走って…来たんだよ…ねぇっ』


『………そうだな。』


『早く帰ってくるって…
約束、守った…よ?』


授業が終わり一目散に帰ってくる。

私はいったい周りからどんな目で
見られているのだろう。

制服のまま玄関を開けた先に
立っていた兄に見下ろされている

なんて…想像つかないだろうな。


『確かに…約束は守っている。』


そう聞こえた声にホッと
胸をなでおろし肩の力が抜けた。


『俺が怒っているのはそこじゃない
わかるか?マイシスター。』


ギシッ


一歩近付いた距離に後ずさる
後ろの引き戸にガタッとぶつかり
がたがたと身体が震え出す。


『トド松から…聞いたんだ。』


『………っ』


情報網のトド松兄ちゃんは
高校での行動を監視する様に
女の子の友達づてで見張る。

誰が犯人かなんて探したら
兄に何をされか想像するだけ
恐ろしいというもの。


『え、と…今日のこと…は。』


『男の先輩に呼び出しをされたとか
何を言われたんだ?言ってみろ、』


『せん、ぱいは…その、』


黙って見下ろす視線は
とても冷えきっていた。


『仲良く…ならないかって…。』


『告白か?』



鋭い視線から逃れたくて
視線を合わせない様に恐る恐る
逸らしていると声が響く。


『それでどうしたんだ?』っと、


『も、勿論断ったよ…やだな…
受ける訳ないよ…わた、私には
お兄ちゃんがいるんだから、ね』


本心だ、偽りじゃない
居るのだ本当に…兄は"いる"のだ。



『可愛い事を言うんだな…だが、
それで許されると思っているのか?』


『………なん、で。』


『無防備に男を誘う事が罪深い。
なら…お仕置きが必要だな?』


もう…優しい兄は"いない"
どこにも、見つけられはしない。



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