第2章 告白現場
「ずっと好きでした……!」
俺は、どきどきしていた。
初めて見た。他人の告白シーンなんて。いや、自分のも別にないんだけど……。…………、……寂しくなるから、こういうことは、今は考えないでおこう。
愛の告白をした女の子の方は、隣のクラスの委員長だった。おっぱいでかくて美人で、密かにおかずにしたこともある子だ。
男の方は……、正直、つまらんが、女子の王子様的存在である、俺たちのクラスメートだ。告白と言えばこの人だよねー☆レベル。つまんな。
俺たちは、この二人が更衣室の前までやってきそうだったから、プールサイドに上がって、休憩用のベンチのところに身を潜めていた。
ベンチには、日差し対策で、テントみたいなものが取りつけられている。これによって、プールサイドの外から、こちらを見ることはできない。
しかし、ぼろぼろで、所々穴が空いている。俺たちは、その穴から、二人の様子を窺っていた。状況把握は可能だが、二人を横から見下ろす形になるため、表情はよくわからない。
王子様は、口を開いた。
「俺は、本当に罪作りだね……。好かれるだけ好かれて、その気持ちに応えられないもの……」
……っか~っ、反吐が出るぜ!
くすっと、かすかな声が、隣から聞こえた。姫さんだ。笑っている。
王子サマのキザなセリフに失笑したのかと思い、姫さんを窺う。俺は、ぞくっとした。王子を見つめるその目は、冷たい嘲笑のものだったから。
姫さんは、俺の視線に気づくと、俺を見て普通に微笑んだ。“普通に”……。
俺は、姫さんから目を逸らすようにして、二人の方へ向き直る。
なに? 姫さん、あの女たらしと何か関係あるの?
なんか……、怖い。怖いのに、逃げられない……。